研究概要 |
1.オオハマボウと近縁4種で葉緑体DNAを用いた解析を行ったところ, ・オオハマボウを母種として他の近縁4種が分化したこと ・非常に広い範囲で種子散布が行われている可能性 ・アメリカハマボウでは新大陸の東西で明瞭な造伝的分化が見られ、大西洋側ではオオハマボウから遺伝子浸透が起きている可能性 などが示唆された。また、マイクロサテライトマーカーによる解析を行ったところ、 ・広範囲な遺伝子流動と、局所集団における集団分化 ・パナマ地峡を越えた花粉流動の可能性 などが示された。 2.グンバイヒルガオでAFLP解析を行ったところ、 ・外部形態で区別されているssp. brasiliensisとssp. pes-caprae2つの亜種は、遺伝的にも異なるまとまりとして認識されること ・遺伝的分化の程度は、南北アメリカ大陸が最も大きく、次いで太平洋東部、アフリカ大陸という順であるが、 いずれも亜種間の遺伝的分化の大きさよりは小さいこと ・マレー半島を挟んだ集団間では相対的には大きな遺伝的分化がみられず、海域間での長距離種子散布が存在すること などが示された。 3.ナガミハマナタマメで葉緑体DNAを用いた系統解析と、ハプロタイプの地理的分布を調べところ、 ・広域に分布する海流散布植物間でハプロタイプの共有が見られること ・ナガミハマナタマメでは、全ての海域で同一ハプロタイプが存在すること などが示唆された。 4.Rhizophora mang!eで葉緑体遺伝子の複数マーカーを用いて、ハプロタイプの遺伝子系統樹を作成し、集団間のハプロタイプ組成を決定したところ、 ・パナマ地峡をはさむ集団間で、明瞭な遺伝的分化が存在すること、 ・南太平洋に分布するR. samoensisはR. mangleの太平洋の集団と共通のハプロタイプを持っていること などが示された。 研究協力者:千葉大学理学部学術研究支援員高山浩司
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