研究課題
基盤研究(B)
研究期間中に、沖縄県黒島、オーストラリアのメルボルン沖と東海岸中央部のポートカーティス、フィリッピンのネグロス島、アラブ首長国連邦のアブダビ、タンザニア共和国のダルエスサラーム、南アフリカ共和国のケープタウン、ハワイ・オアフ島、ニューカレドニア、および、マレーシアのサラワク州において野外調査を行った。採集した種は、オナガナメクジウオ種群Asymmetron lucayanum species group(複数種を含む)、カタナメクジウオEpigonichthys maldivensis、E.cultellus、E.australis、Branchiostoma moretonense、B.arabiae、B.belcheri(タイプ産地で採集)などである。これらの分子情報や形態情報を解析した結果、おもに以下のことが明らかとなった。1.熱帯海域の浅海に汎世界的に分布すると信じられてきた、いわゆるオナガナメクジウオA.lucayanumが、隠蔽種3種からなることがわかった。また、分子と形態の知見を総合して、世界初の深海性種A.inferumを新種記載したが、本種がオナガナメクジウオ属Asymmetronの現生種中、もっとも古く分化したことがわかった。2.日本で"ナメクジウオ"と呼び慣わしてきた種はBranchiostoma belcheriとするべきではなく、B.japonicumとすべきだとの中国の研究グループの提案を、両種のタイプ産地からの標本を含む各地の多様なサンプルを分子系統学的・集団遺伝学的に解析し、実証した。さらに、フィリピンとオーストラリアにおいて、B.belcheriの隠蔽種2種の存在を確認した。3.ナメクジウオ類現生種から見る限り、その基本的形態はジュラ紀以来変わっていないとの結論が得られた。いわゆる「形態進化の停滞」として解釈することも可能な結果である。
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