研究課題/領域番号 |
16370051
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
緒方 一博 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90260330)
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研究分担者 |
佐藤 光 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90300962)
椎名 政昭 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30347299)
浜田 恵輔 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00344052)
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キーワード | Runx1 / 転写制御因子 / 急性白血病 / CBFβ / 核磁気共鳴法 / 磁気緩和時間測定 / 揺らぎ |
研究概要 |
Runx1は、血球分化に関わる転写制御因子であり、その異常は急性白血病を引き起こすことが知られている。Runx1は、DNA非結合性の転写制御因子CBFβとヘテロダイマー形成することによりDNA結合活性が上昇する。本研究室では、以前Runx1-CBFβ-DNA複合体の結晶構造解析を報告し、CBFβによるRunx1のDNA結合活性の上昇がRunx1の構造的揺らぎの安定化によってもたらされることを示唆した。今回、揺らぎと機能との関連を詳細に調べるため、核磁気共鳴法を用いた磁気緩和時間測定を行った。Runx1-DNA複合体およびRunx1-CBFβ-DNA複合体中でのRunx1のアミドプロトンシグナルを帰属し、磁気緩和パラメーターR1,R2,Steady-state NOEおよびR1ρの測定を行った。 その結果、Runx1-DNA複合体中におけるRunx1は、DNAを認識するループ領域では比較的遅い時間スケール(数百マイクロからミリ秒スケール)の揺らぎが存在しており、Runx1のCBFβ結合部位では速い時間スケール(数ナノ秒まで)の揺らぎが存在していることが明らかになった。一方、Runx1-CBFβ-DNA複合体では、これらの揺らぎが抑えられていた。Runx1の揺らぎの制御に関与すると予想される残基に変異を導入し、機能解析を行ったところ、CBFβによるRunx1の機能制御機構が破綻していた。 このことから揺らぎの制御と機能活性制御との相関が示唆された。現在、Runx1に変異を導入した変異型Runx1を用いて、Runx1-DNAおよびRunx1-CBFβ-DNA複合体中でのRunx1の揺らぎをNMRを用いて解析している。
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