研究課題/領域番号 |
16370053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
広津 建 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10047269)
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研究分担者 |
宮原 郁子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40271176)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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キーワード | X線構造解析 / ビタミンB6 / PLP / 抗うつ剤 / PLP酵素 / 立体構造 / ガバペンチン |
研究概要 |
ヒト由来のサイトゾールBCAT(hcBCAT)は、中枢神経系で発現するPLP(ビタミンB6)依存型の酵素で、分岐鎖アミノ酸を用いて、2-オキソグルタル酸からNMDA受容体のアゴニストであるL-グルタミン酸と分岐鎖アミノ酸のケト酸を生成する酵素である。hcBCATは抗痙攣薬ガバペンチンにより阻害されることはよく知られている。hcBCATは脳の様々な病態と関連しているので、得られたPLP酵素複合体の立体構造は、中枢神経系の障害に対する薬剤をデザインするための基盤となる。hcBCATの立体構造、誘導適合、反応機構およびガバペンチンによる阻害作用を明らかにするために、hcBCATと4-メチルバレリン酸(4-MV)および抗うつ薬、抗痙攣薬であるガバペンチンとの複合体を結晶化し、これらの複合体の立体構造を決定した。分子は2つのサブユニットからなる2量体である。hcBCATのサブユニットは小ドメイン、大ドメインおよびドメイン間ループからなる。活性部位は、大小2つのドメインのインターフェースのところにある。4-MVは補酵素PLPの上部にあり、4-Mvのα-カルボキシル基は小ドメインのループの主鎖のNH基と水素結合している。4-MVの芳香環はPLPのピリジン環とTyr191の間に挟まれている。抗うつ薬であるガバペンチンは、4-MVの結合部位とほぼ同じ位置に結合していた。ガバペンチンのα-カルボキシル基の配置は4-MVのα-カルボキシル基と同様である。ガバペンチンのアミノ基は補酵素PLPを固定するループに属するThr258の側鎖のOH基および主鎖のNH基と水素結合していた。ガバペンチンの6員環は4-MVの疎水部分とおおよそ同じ位置にある。したがって4-MVとガバペンチンの結合様式は基本的には同じであることがわかった。
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