研究概要 |
1.NAP-22改変体の機能解析 NAP-22のN末60残基に焦点をあて、この領域内に欠失部位を導入し、変異タンパク質を大腸菌で発現し、精製の後、リポソームとの結合実験を行った。41-50、51-60残基の欠失体の脂質結合能は全長タンパク質と大きな差異を示さなかったが、32-40残基の欠失ではファスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸以外への脂質結合が消失し、20-25残基の欠失ではコレステロールに対する結合性が特異的に減少した。 2.改変体の神経細胞発現 GFPとNAP-22の融合体を神経細胞に発現させ、シナプス部への移行、コレステロールとの共局在等を観察した。GFP以外にCFPとの融合体発現プラスミドを作成し、PC12細胞を用いて、NAP-22のオリゴマー形成に伴う蛍光エネルギー移動の解析に着手している。 3.NAP-22結合因子の解析 免疫沈降を質量分析により、NSF、dynamin、neurocalcin α、α-synuclein,、adaptor complex(AP-1)、等を見い出した。 4.ラフトの細分画 Blue-Native-PAGEと細胞分画によりシナプス小胞ラフトの主要成分をv-ATPaseと同定した。さらにこの輸送体の機能が膜コレステロール濃度と関連することを見い出した。また膜クロライドポンプ活性がNAP-22免沈物中に回収されることを見い出した。グリア細胞由来のラフトを解析し、ミエリン由来ラフトの局在因子がアクチン系細胞骨格と結合することを見い出した。培養神経細胞を用い、低温化でのTriton X-100による脂質、タンパク質の可溶化を行い、生化学的に分画したラフト領域との比較検討を行い、シナプス部においてラフト構築脂質が可溶化されづらいことを見い出した。
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