研究課題/領域番号 |
16370063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上野 隆 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10053373)
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研究分担者 |
谷田 以誠 順天堂大学, 医学部, 講師 (30296868)
江崎 淳二 順天堂大学, 医学部, 講師 (60232948)
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キーワード | オートファジー / オートファゴソーム / リソソーム / メラノソーム / メラニン / メラノーマ / プロテオリシス / ATG遺伝子 |
研究概要 |
secretory lysosomeの代表格であるメラノソームについて、培養メラノーマ細胞であるB16-FO、B16-F1、M3、G361では、メラノソームマーカーであるチロシナーゼやTRP-1と言ったタンパクに加えて、オートファジーに必須なATG遺伝子産物が高発現していることが解った。さらにB16-F1を用いて詳細な検討を行ったところ、1)リソソームタンパク分解阻害剤で抑制される長寿命タンパクの分解が起こり、これが栄養飢餓で促進されること、2)通常の培養条件下でもリソソームタンパク分解阻害剤感受性の分解が有意に見られること、の2つが明らかになった。このことから、メラノーマでは富栄養条件でもオートファジーが起きていることが理解される。タンパク分解の特徴と合致して、B16-F1細胞では、オートファゴソーム膜マーカーであるLC3やGABARAPが膜結合型として存在し、オートファゴソームからオートリソソームへのターンオーバーが盛んに起こっていることが示唆された。また、OptiPrep密度勾配遠心による細胞分画や間接蛍光抗体法により、膜結合型のLC3やGABARPとチロシナーゼが共局在しているということも解り、メラノソームがオートファゴソームによって取り込まれ、リソソームと融合して分解されると考えられる。B16-F1細胞は、培地にメラニンを放出するばかりでなく、メラノソーム形成途上の中間体と見られる小胞を盛んに分泌する。これらの小胞には、脂質結合型LC3、GAPARAPに加えて、リソソーム膜タンパクLGP120、カテプシンL、チロシナーゼなどが載っており、secretory lysosomeとしてのメラノソーム熟成や分泌にオートファゴソームが深く関わっていることが示唆される。2年目にこの点をさらに深く検討していきたい。 メラニン形成系に加えて、免疫における抗原提示や抗体生成に重要な役割を持つマクロファージ、B細胞、T細胞でも膜結合型LC3が多く認められ、これがさらにインターフェロンγ処理で増えることから、class IIコンパートメントやlytic granule形成にLC3がどのように働いているかをさらに調べたい。
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