研究課題
基盤研究(B)
培養メラノーマB16-F1細胞では、メラノソームマーカーであるチロシナーゼやTRP-1、リソソームマーカーのLGP120に加えて、オートファゴソーム膜タンパクであるLC3とGABARAP(Atg8の哺乳動物ホモログ)が膜結合型として存在し、実質的にメラノソームマーカーと共局在していることが、OptiPrep密度勾配遠心による細胞分画や間接蛍光抗体法により示されていた。2年目の平成17年度では、免疫電顕でさらにこれを追認し、メラノソームがオートファゴソームとしての性質を帯びることによって、自分自身をターンオーバーしていることが解った。メラノソームはsecretory lysosomeの代表格でもあり、その内腔成分を細胞外へ分泌する特性を持つ。B16-F1細胞では、LC3やGABARAPに富んだ小胞を培地に多く放出することが解った。これらの小胞には、脂質結合型LC3、GAPARAPに加えて、リソソーム膜タンパクLGP120、カテプシンL、チロシナーゼなどが濃縮されていた。免疫電顕では、比較的大きさの揃った小胞として見ることができ、内外両側にLC3が分布する。これらを総合すると、メラノーマがexosome様の小胞を放出し、その中にオートファゴソームマーカーであるLC3やGABARAPを持つものがあると結論される。exosomeに関するこれまで知見に基づき、細胞外に分泌されたこれらの小胞はsecretory lysosomeとしてのメラノソーム熟成や分泌に必要な中間体であると考えられた。オートファゴソームがこれらのsecretory lysosomeの成り立ちに深く関わっていることが示唆される。
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