研究課題
基盤研究(B)
ダイニンは微小管と相互作用して運動を発生するモータータンパク質であるが、ダイニン分子において微小管結合部位とATP加水分解部位という非常に基本的な機能の実態の解明を試みた。まず、微小管結合部位とされるストークヘッドとゲルゾリンを融合させたリコンビナントタンパク質を作製し、蛍光アクチンフィラメントをマーカーとして、ストークと微小管の相互作用を顕微鏡下で直接的に観察したところ、ストークヘッドは微小管上を1次元ブラウン運動し、その結合が弱いものであった。ストークヘッドに続くコイル領域の構造変化が微小管との結合に重要と考え、コイル領域の長さの異なるストークタンパク質を作製した。コイル領域がある程度長いものは、CD(円偏光二色性)の測定からアルファヘリックス含量が増加し、コイル構造をとっていると推察された。このタンパク質の微小管との相互作用を調べたところ、微小管上の滞在時間が減少したので、より弱い結合をすることがわかった。コイル構造が巻いているときと巻いていないときのどちらも弱い結合であり、ダイニンがパワーストロークを行うための強い結合状態を取るためには、何らかの別の構造変化が必要であろうと考えられる。また、ダイニンに6つ存在するAAAモチーフのうち、ATP結合部位(P1-P4)を持つ4つのモチーフ(D1-D4)を発現させて、ATPase活性を調べた。その結果、ダイニンのD1-D4において少なくともP1とP3の2ヶ所にATPase活性があることが明らかになった。さらに、D1に存在するP1が活性を持つためにはD2の存在する特異的なアルギニン必要であること、同様にP3の活性のためにはD4のアルギニンが必要であることがわかった。
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