研究課題/領域番号 |
16370070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50111505)
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研究分担者 |
上田 太郎 産業技術総合研究所, ジーンファンクション研究センター, 主任研究員(副センター長)
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キーワード | 急速凍結フリーズ・レプリカ法 / 3次元構造解析 / アクトミオシン滑り運動 / コンフォメーション変化 / レバーアーム首振り説 / 電子顕微鏡 / 活性複合体 / 硬直複合体 |
研究概要 |
本研究では、急速凍結フリーズ・レプリカ電子顕微鏡法を用いて機能遂行中の分子モーターの立体構造を捉え、自らの手で開発した3次元画像解析法により、滑り運動の構造的基盤を解明することを目的として開始した。とりわけ、短寿命であるためこれまで観察が困難であった重要な反応中間体に着目し、その構造解析を試みた。昨年度までに、アクト-HMM(重メロミオシン)in vitro滑り運動系で捉えたクロスブリッジの多くが結晶構造として報告されたことのない新たなコンフォメーションを取っており、それがADP存在下でSH-1とSH-2を2価性試薬pPDMにより化学架橋されたミオシン頭部の構造と酷似することを見出している。原子モデルからコンピュータ・シミュレーションで作った仮想的な像をそれらのレプリカ像と定量的に比較することにより、Vi型(ATP結合型)コンフォメーションのレバーアーム部分を約150度回転した構造に一致することが判明した。単独のミオシンにATPを加えると均一なVi型になるのに対し、滑り運動中には1個のHMMの2個の頭部がそれぞれVi型、pPDM型を取る場合があるので、Rigor型→Vi型→pPDM型→Rigor型と変化するものと推定された。ここで、アクチンに結合するpPDM型においては上位50KD下位50KDを含む面はアクチンに平行である点が特徴的である。一方パワーストロークの終わりであるRigor型では同じ面がアクチンにほぼ垂直となっており、その間で大きな結合角度の変化が予測された。そこでレプリカ試料中の多くの粒子を検索した結果、本体のコンフォメーションはpPDM型であるが、アクチンへの結合角度がRigor型と同じという中間型の粒子を見出した。これでようやく全体の構造変化の流れが掴めたので、今後はアクトミオシンの境界面についての構造解析を進める。
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