研究課題/領域番号 |
16370071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長野 哲雄 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授 (20111552)
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研究分担者 |
浦野 泰照 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (20292956)
小島 宏建 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (70345255)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (70167609)
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キーワード | 蛍光 / 近赤外発光 / 蛍光プローブ / レシオ / 亜鉛 / バイオイメージング / 可視化 / 長寿命蛍光 |
研究概要 |
本研究の目的は生体分子(生理活性種・酵素・受容体・遺伝子など)を動的に可視化することにより、画期的な生理機能解析法を開発することである。生体組織、細胞系、特にin vivoを試料とした「生きている状態」における生体分子をそれぞれの作用部位において直接検出し、時々刻々の変化を画像として捉える事により、生体分子の生理機能の解析を目指すことになる。前年度までに、近赤外領域発光可視化プローブとして亜鉛プローブDIPCYの開発、亜鉛に選択的に応答するMRI造影剤および遺伝子発現をモニターできるベータガラクトシダーゼMRIプローブの開発に成功した。 今年度は本研究の応用として、実用的な臨床検査薬として使用できる長寿命型(時間分解型)蛍光可視化プローブの開発を行った。ランタノイド蛍光錯体の蛍光が長寿命で有るという蛍光特性は尿などの多数の蛍光物質が夾雑している系において、望むシグナルだけを特異的に検出することができ、極めて有用である。この特性に前年度までに得られた蛍光発光のON/OFFスイッチの原理を組み込むことで極めて高感度の臨床検査薬が創製できると思われ、標的としてロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)を設定した。この酵素はがんの転移や自己免疫疾患と関係しており、肝・胆道系疾患において活性値が上昇することが知られている。この酵素活性を患者および健常人の尿中から高感度、高特異的に測定できれば、学問上だけではなく、社会的なインパクトも大きく、その意義は計り知れない。 今年度、ランタノイド錯体の光化学特性を種々検討した結果、我々が見出した独自の発光制御原理に基づいて新規LAP活性測定用臨床検査試薬の開発に成功した。患者と健常人の尿を用いてこのプローブの有用性を検証し、従来法に比べ格段に高いS/N比が得られ、極めて有用なLAP活性測定用プローブであることが示された。
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