研究課題
1.出芽酵母の伸展活性化カルシウムチャネルの候補であるMid1タンパク質の細胞レベルでの活性制御機構を調べるために、mid1変異株の致死性を相補できる多コピー抑圧遺伝子を単離した。塩基配列と予想されるアミノ酸配列の解析により、この多コピー抑圧遺伝子はSPA2遺伝子の5'末端が欠けたもの(SPA2ΔN)であった。Spa2タンパク質は細胞の極性伸長を制御することが知られている。SPA2ΔN遺伝子からSpa2ΔNタンパク質が多量に発現すると正常なSpa2の細胞内局在が異常となり、細胞が極性伸長を行なえなくなる。このことにより、Mid1がはたらく時期が来ないので、結果的にSPA2ΔN遺伝子がmid1変異を相補したことを明らかにした。2.全長548アミノ酸残基からなるMid1タンパク質が細胞膜に局在するためのメカニズムを明らかにする目的で、Mid1タンパク質の全長、およびMid1タンパク質のC-末端を順次欠損させたものに緑色蛍光タンパク質(GFP)をつないだ融合タンパク質を作製し、その融合タンパク質の細胞内局在を調べた。その結果、N-末端から361アミノ酸残基以降の領域がなくてもMid1は細胞膜に局在できること、N-末端から22番目のアミノ酸残基まではシグナル配列であることを明らかにした。また、Mid1の細胞膜以降にはN-グリコシレーションとSec12と呼ばれる膜輸送タンパク質が必要であることも明らかにした。3.イネの電位作動型カルシウムチャネル候補であるOsTpc1の細胞内局在部位を、特異抗体を用いた細胞膜分画法と共焦点レーザー蛍光顕微鏡観察により調べた。その結果、OsTpc1はイネの培養細胞の場合、細胞膜に存在することを明らかにした。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
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