研究課題
1.出芽酵母のカルシウムチャネルCch1の構造と機能の関係を調べた。先に遺伝学的に同定していたmid3変異はCCH1遺伝子内に生じた変異であることを遺伝解析とクローニングにより明らかにした。すなわち、mid3はただ一つのアミノ酸の置換(G→E)により、Cch1を完全に失活させる変異であった。そこで、このアミノ酸置換はどのようなメカニズムでCch1を失活させるのかについて調べた。その結果:(1)mid3変異株のCch1Eの発現量は、野生株のCch1の発現量より低いが、Cch1Eを20倍高発現させてもCa^<2+>取込みは回復しないこと、(2)Cch1E-GFP融合タンパク質は正常に形質膜に局在すること、(3)Gをさまざまなアミノ酸に置換した変異体について解析し、Ca^<2+>取込み活性は置換アミノ酸の側鎖の大きさと反比例して小さくなることを明らかにした。これらの結果は、Cch1Eがチャネル活性を持たないのは、タンパク質の安定性と細胞膜への輸送の欠損ではなく、大きなアミノ酸側鎖への置換に伴う立体構造の変化によることを示唆する。2.出芽酵母のmid1変異株の致死性を相補するシロイヌナズナの・MCA1の構造と機能を調べた。MCA1はmid1変異のみならずcch1変異株とmid1 cch1二重変異株をも相補することができた。したがって、MCA1は酵母細胞の中でMID1の代わりをするのではなく、MID1およびCCH1とは独立にはたらくことを示した。Mca1タンパク質は酵母細胞の細胞膜に膜貫通タンパク質として存在することも明らかにした。また、植物体において、機械刺激に応答してCa^<2+>の流入に関与することを明らかにした。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 104
ページ: 3639-3644