研究課題
基盤研究(B)
ホヤ幼生は明刺激では停止し、暗刺激で遊泳行動を開始する。本研究の目的は「光受容から筋肉の駆動まで-光情報ダイナミックス・システムの作動原理」を明らかにすることである。ホヤ幼生の光受容器官の構造をオプシン抗体、アレスチン抗体で染色した結果、眼杯の内側に第1群、縁に沿って第2群、平衡器近くに第3群の光受容器が存在することが明らかとなった。レーザー細胞破壊実験によりに1群、第2群の光受容器が光応答に関与する。眼杯の第1群、第2群の光受容細胞はグルタミン酸陽性、GABA陽性であることから光受容細胞は明、暗刺激で抑制性、興奮性の神経伝達物質を放出し、遊泳行動を支配していることが示唆された。光受容器で受容された刺激が如何にして筋肉を駆動するかの生体システムを明らかにするため神経特異的抗体、そのプロモーターを用いたGFP、WGAにより特異的神経回路の可視化を行った。5対10個のアセチルコリン陽性の細胞の内、第1、2、4、5番目の神経軸索は筋肉の方に投射しておりモーターニューロン、第3番目の2対の細胞は脳胞の方に軸策を伸ばしていることから、モーターニューロンでは無いと結論された。この4対のアセチルコリン陽性のモーターニューロンに対して2対4個のGABA陽性ニューロンがこれらモーターニューロンを側抑制し、尾部運動に至るモデルを提唱した。視細胞からモーターニューロンに至る特異的神経経路を特定するため、経シナプストレーサーであるWGA遺伝子を視細胞特異的遺伝子のプロモーターに融合させ、視細胞から脳胞の2次ニューロンを経て4番目の1対のモーターニューロンに投射することを明らかにした。これらの結果から視細胞で受容された光信号が脳胞の2次ニューロンに伝えられ、さらに特定のモーターニューロンに投射され、幼生のリズミカルな遊泳行動を制御している中枢パターン発生器を駆動することを明らかにした。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (15件)
Photochemistry Photobiology 83
ページ: 248-252
ページ: 242-247
Biophysical Journal 92・10
ページ: 3643-3651
Photochem. Photobiol. 83
Photochemistry Photobiology 82
ページ: 1468-1474
Nature Genetics 38・6
ページ: 676-681
Nature Genet. 38 (6)
ページ: 678-681
Photochem. Photobiol. 82
J. Biol. Chem. 280 (46)
ページ: 38569-38575
J. Exp. Biol. 208
ページ: 433-438
Dev. Biol. 276
ページ: 563・580
J. Comp. Neurol. 475
ページ: 70-82
Genesis. 39 (2)
ページ: 130-140
Zool. Sci. 21
ページ: 245-250