ヒトの複製開始因子ORCのサブユニットであるORC1について免疫精製を行った。精製産物について質量分析により同定作業を行ったところ、ORCの他のサブユニットであるORC2、ORC3、ORC4、ORC5が同定された。それに加えて、テロメア領域に結合する因子が同定された。さらに、分裂酵母でテロメア結合因子との相互作用が知られている中心体蛋白質が同定された。最近、米国のB.Stillman研を中心に、ORCが中心体に存在することが示されており、染色体分配や細胞質分裂に寄与している可能性が示唆されている。本課題の成果により、複製開始因子とM期イベントを結びつける分子のつながりが明らかになったと考える。これに加えて、染色体分配に関与する蛋白質ネットワークを解明することにより、S期とM期の連携を模索できないか検討した。具体的には、動原体蛋白質であるMis12蛋白質の複合体をHeLa細胞から精製し、構成因子を同定した。その結果、動原体の外層に局在し、微小菅との結合に関与するHEC1複合体およびZwint-1がMis12と相互作用していることが明らかとなった。それに加えて、新規の動原体蛋白質を4種類同定した。さらに、Mis12はヘテロクロマチン蛋白質の構成成分であるHP1と結合していることを見いだした。これらの知見からMis12は複合体を形成し、ヘテロクロマチン構造を足場として、微小管へとつながる動原体の中心的な構造を形成していることが示唆された。また、面白いことにHP1はORCと結合すること、ORCは動原体の両脇に存在するヘテロクロマチン領域に局在していることがショウジョウバエの系で報告されている。これらのことは、ORCとHP1と動原体蛋白質との連携を検討することが、本研究課題の達成に必要不可欠であることを示唆するものでる。
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