研究概要 |
本研究では、酵母の細胞極性異常変異体において見出された、成長極性異常をモニターする新規チェックポイント機構について解析し、以下の知見を得た。 1.シグナル経路による細胞周期制御機構の解析 mor2変異による細胞周期停止には、Wee1キナーゼの活性化が重要であることを見いだしている。そこで、mor2変異による異常シグナル伝達経路によって制御されるWee1の新たな調節分子を同定するため、wee1変異と同様、二重変異により制限温度が減少し、合成的増殖阻害を示す、分子の探索を行った。分子探索には、非必須遺伝子破壊体セットを用いた。その結果、wee1変異体を含む複数の変異体を見出した(投稿準備中)。 2.変異体の成長極性異常の解析のための画像解析システムの構築 変異体の成長極性異常を定量的に把握する画像解析システムを構築した。本システムにより、変異体の成長極性異常の解析が容易になり、また、関連する機能を示す遺伝子を網羅的に探索することが可能になった(G.Suzuki et al.,Curr.Genet.2006)。 3.チューブリン変異によるチェックポイント機構の活性化 分裂酵母の新規なチューブリン変異体を取得し、この変異が、微小管ダイナミクスの変化を誘導し、Bub1依存的チェックポイント機構を活性化することを見出した(K.Asakawa et al.,2006)。 4.Yap1タンパク分解を介した細胞周期遅延機構 転写因子Yap1のタンパク分解が、細胞周期のG2期遅延機構に関与することを見出した(H.Yokoyama et al.,2006)。
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