細胞分裂において多くの分裂期キナーゼは、中間径フィラメントの1つであるビメンチンをリン酸化する。今までに我々は、RhoキナーゼやAurora-Bが分裂溝特異的にビメンチンをリン酸化し、細胞質分裂においてビメンチンフィラメントの再構築を調節していることを明らかにしてきた。Cdk1もまた分裂前中期、中期にビメンチンをリン酸化することが分かっているが、その生理的意義は不明のままであった。今回我々は、Cdk1によってリン酸化されたビメンチンSer55lがPlk1(Polo-like kinase 1)と直接結合し、そのキナーゼ活性を著しく上昇させることを明らかにした。活性化PIk1は、さらにビメンチンをリン酸化し、そのリン酸化部位はSer82であった。in vitroの実験により、このリン酸化は、ビメンチンフィラメントの部分的な脱重合を引き起こすことが分かった。ビメンチンSer82のリン酸化を特異的に検出する抗体やRMA干渉法を用いた実験から、Plk1によるビメンチンSer82のリン酸化は、Cdk1によるビメンチンSer55のリン酸化直後の分裂中期から分裂終期まで生じていることが分かった。さらに、このビメンチンSer82のリン酸化は、細胞質分裂におけるRhoキナーゼやAurora-Bによるビメンチンのリン酸化反応と協調的に働き、ビメンチンフィラメントの娘細胞への分配に関与する可能性が示唆される実験結果を得た。また新規ケラチンフィラメント結合蛋白質としてトリコプレイン、Fbf1を同定し、その機能解析を行った。
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