研究課題/領域番号 |
16370095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川原 敦雄 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (10362518)
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研究分担者 |
花岡 龍毅 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (70362530)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 造血・血管発生 / 新規機能遺伝子 / ヘマンジオブラスト |
研究概要 |
我々は、ゼブラフィッシュの初期発生を制御する分子を同定する目的で、一方向性完全長cDNA libraryから、RNAアンチセンス・プローブを作製し、ゼブラフィッシュの初期発生過程に、領域特異的発現パターンを示す遺伝子の検索を行った。特に、造血・血管発生の場である血島(blood island)に発現している分子に焦点を絞り、候補遺伝子の機能解析を行った。血島特異的発現を示す既知の遺伝子としては、ヘム合成酵素群に属する分子群とグロビン遺伝子が多数取れてきた。これらのタンパク質は、赤血球の主要タンパク質であり、かつ、酸素運搬体であるヘモグロビンの生成に重要な役割を担う。しかしながら、ヘム合成酵素の一次造血における役割は不明であることから、ヘム合成酵素であるCPO(coproporphyrinogen oxidase)の造血発生における役割を解析した。CPOに対するアンチセンス・モルフォリノ(CPO-MO)を受精卵にインジェクションし、CPOの機能阻害実験を行い、その表現型を調べた。循環する血球の数は、それほど影響を受けなかったが、赤血球の赤い色が薄くなっていた。o-dinanisidin染色法によりヘモグロビン産生量を測定すると、顕著に抑制されていたことから、ヘムの合成阻害が、ヘモグロビンの産生に影響を与えたと考えられた。さらに、CPO-MOによりGATA1(赤血球分化を制御する転写因子)およびβe3グロビン遺伝子の発現を高く誘導すること、さらに、形態学的に未成熟段階と考えられたことから、CPOが、赤血球の成熟過程にも必須の分子であることが明らかとなった。興味深いことに、このCPO-MOによるヘモグロビン産生の低下は、ヒトCPO RNAのインジェクションにより、完全に回復されること、また、遺伝性コプロポルフィン症の患者由来のCPOに相当する変異体では、その回復効果は、全く認められないことが分かった。これは、ゼブラフィッシュによるCPO-MOのインジェクションによる表現型が、ヒトのCPO遺伝子の機能を解析するin vivoのバイオ・アッセイ系となりうることを示唆している。 また、上記のスクリーニングで同定されたGADD45b遺伝子が、体節形成に必須の役割を担うことを明らかとした。
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