研究課題/領域番号 |
16370102
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
進化生物学
|
研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
|
研究分担者 |
鵜澤 武俊 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60283842)
日渡 祐二 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (10373193)
藤田 知道 北海道大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50322631)
星 良和 九州東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
キーワード | 食虫植物 / 消化酵素 / プロテアーゼ / 進化 / 新規形質 / サラセニア / ウツボカズラ / モウセンゴケ |
研究概要 |
Nepenthes alata、Sarracenia purpurea、Drosera adelae、Cepharotus follicularisについて消化液内の消化酵素タンパクを多数同定することに成功した。遺伝子全長配列を単離することは難しかったが、部分アミノ酸配列より、BLASTPサーチ、系統解析によってこれらのタンパク質がどのような機能を持っているかを推定した。また、実際のタンパク質機能をNative PAGE法などによって確認することができた。その結果、ほとんどの消化液中タンパク質は非食虫植物にオルソログ遺伝子を持つことがわかった。また、食虫植物の系統によって似たような機能のタンパク質を用いている場合でも、それらはオルソログ関係ではなくパラログ関係にあることがほとんどであった。これらのことから、食虫植物の消化酵素は非食虫植物が持っていたタンパク質から進化したものであり、系統によってそれぞれ独立に進化したものであることがわかった。非食虫植物の食虫植物消化液タンパク質オルソログのアノテーション解析から、いくつかの遺伝子は耐病性に関わる遺伝子であることがわかった。耐病性遺伝子はバクテリア、菌類の消化に関わる機能を持つものがあり、細胞間領域に分泌される場合が多い。このことから、元来耐病性遺伝子として用いられていた遺伝子の一部が食虫植物の消化酵素として機能するように進化したらしいことが推察された。このことは進化における新規形質の進化が既存のシステムをリクルートしていたという発見として意義があり、重要である。非食虫植物から食虫植物の進化においては、これら細胞外へ分泌されていたタンパク質を効率的に分泌するための腺構造の進化、消化物を吸収するための吸収線の進化、そして、捕虫葉の進化が必要だったと考えられる。これらの進化がどのようにおこったかを解明することが食虫性進化解明の今後の課題である。
|