研究概要 |
本研究の目的は、「他殖性植物集団」と「適応性関連遺伝子の挙動」をキーワードとして完全他殖性であり、諸形質および生態型の分化が把握されている普通ソバ,ならびに自殖性の普通ソバをモデル植物として他殖性植物集団における適応性関連遺伝子の挙動を把握することにある。ゲノム中の適応に関する遺伝子の動態把握のためには、多数の中立遺伝子および適応関連QTLを把握したマップが必要である。これにより、遺伝構造の変遷を反映する中立遺伝子の動態および環境への反応を反映する適応関連遺伝子の動態の把握が可能となる。これまでに80遺伝子座のAFLPマーカーおよびSSRマーカーを開発した。いずれも自然淘汰に対して中立で適応度に影響を与えない中立マーカーである。さらに、他殖性集団の遺伝子動態の把握を目的とするとして汎用性の高いcDNAベースの共優性マーカーを作成することとした。cDNAマーカー作成のため新潟薬科大より提供されたソバの生殖様式に関連する遺伝子をカバーしていると考えられるソバcDNAライブラリー384クローン(蕾由来96クローン,花柱由来288クローン)に対しベクター配列除去後プライマー作成時のプライマーの特異性を高める目的でstandalone型BLASTの塩基配列同士を比較するプログラムblastnを用いてソバcDNAライブラリー間の相同性検索を行った。その結果93クローンの特異的なcDNA配列が見出され、この配列に対しプライマー作成ソフトprimer3を用いて91プライマーペアを作成した。このプライマーペアに対しスクリーニングを行った結果マーカー作成に利用可能な53プライマーペアが見出された。
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