研究課題/領域番号 |
16380014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大川 泰一郎 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (80213643)
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研究分担者 |
平沢 正 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (30015119)
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キーワード | 光合成活性 / 硝酸還元酵素 / 代謝産物 / 窒素吸収 / 窒素同化系 / 窒素分配 / 老化 / Rubisco |
研究概要 |
作物の葉の光合成活性に及ぼす葉の窒素同化、葉の窒素分配に関わる植物体の窒素代謝の影響とその要因を検討するため、本年度は、すでにモデル植物であるアラビドプシスを用いて解析方法を確立している海外研究協力者の協力を得て、各種窒素代謝産物、窒素代謝系に関連する各種酵素活性を多試料同時に測定可能な実験系を確立し、これまで葉の老化過程の光合成速度、Rubisco含量および遺伝子発現の解析を行ってきた水稲、ダイズを用いて、葉の光合成活性と葉の窒素同化、根による窒素吸収、植物体内の窒素吸収、分配および再分配との関係について、検討を行った。結果の概要は以下の通りである。 (1)温度制御可能なマルチプレート対応スペクトロフォトメーターを用いた硝酸、アンモニア、各種アミノ酸などの窒素代謝産物の酵素化学的な測定方法、硝酸還元酵素、グルタミン合成酵素などの窒素同化系の酵素活性の多試料測定法を確立した。これにより、これまで1点の酵素活性を測定する時間で、96点の測定を行うことが可能となった。また、液体窒素中で粉砕可能な凍結粉砕機TissueLyserにより、多くの試料を迅速に粉砕することが可能となった。 (2)この実験系を用いて、登熟期の水稲の葉の老化過程の硝酸還元酵素活性を測定した結果、登熟期における葉の硝酸還元酵素活性は老化とともに低下した。この酵素活性の低下はRubisco含量の低下と関係が認められた。 (3)葉の老化のはやいダイズ品種は老化の遅いダイズ品種に比べて、稔実期のRubisco含量および葉の窒素含量の減少が大きいことには、稔実期の窒素吸収が低下し、葉より莢への窒素分配割合が大きいことが関係した。稔実後期には葉に老化促進作用のあるアブシジン酸の著しい蓄積が認められ、このこともRubisco含量の減少と関係があることが推察された。
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