イネ根による信号物質の生産 ポットによって、根系の一部が乾燥土壌にアクセスする条件下で、葉身水ポテンシャル、気孔コンダクタンス光合成・蒸散速度をモニターした。その結果、葉身水ポテンシャルが低下する前に気孔コンダクタンスが減少する現象を捉え、信号物質が機能していることを強く示唆する結果を得た。今後、信号物質と考えられている、導管出液のABA濃度をあわせて測定する。さらに、フィールドにおける信号物質生産の検知ならびに生長の及ぼす影響を解析するための実験準備を開始した。 水ストレス条件下における浸透圧調節機能 トウモロコシを対象に、人工気象室内で、水耕栽培によって、いくつかの生育段階に、ポリエチレングリニコール(PEG)よって種々の浸透圧に調整した水耕液に植物を移植し、経時的に、葉身水ポテンシャル、浸透ポテンシャルを測定し、また膨圧を求め、種子根伸長に対して浸透圧調整機能が働いていることを確かめた。別に各根、部位の伸長速度、ならびにそこからの側根発生速度、密度を測定した結果より、側根発生においても浸透圧調節が関与している可能性を指摘した。 水通導性の根系内変異 根系要素別、部位、組織別にプロトプラストを生成し、等張液から低張液あるいは高張液に移し、経時的な直径の変化を既設の顕微鏡画像解析装置によって計測し、その変化率から透水係数を求めた。その結果、部位別、側根の種類別に透水係数が異なることを示唆する結果を得た。 側根の可塑性に関わるQTL解析 これまでの国際イネ研究所との一連の研究の中で、CT9993(日本型陸稲、深根性)とIR62266(インド型水稲、浅根性)を親として作出した半数体倍加系統(144系統)において、水ストレスに対する反応に関わるいくつかのQTLを同定した。今後は、水ストレス条件の変動に対する反応に関するQTL解析を進める。
|