研究課題/領域番号 |
16380017
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
|
研究分担者 |
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80185339)
田中 朋之 鳥取大学, 農学部, 助手 (50224473)
|
キーワード | 高温 / 登熟 / イネ / 品質 / 温暖化 / オーストラリア |
研究概要 |
イネの登熟期高温が登熟速度と期間におよぼす影響を明らかにするために、水田に二つの異なる温度処理区を設けた。水田に温帯水稲コシヒカリと熱帯水稲IR72を栽培し、穂ぞろい期に長さの異なるビニールハウスを建てて、一端を閉じ温度センサーつきファンを取り付けた。その結果、ハウス内では気温が外気よりも約2-3度程度上昇した。子実収量は高温になるほど低下した。また穂ぞろい期から一部のイネの栽植密度を半分に減少させ、登熟期の同化を高めた区を設けて、潜在的な子実の乾物増加量を推定した。その結果コシヒカリでは間引きをしたイネでは登熟期積算気温と籾の充填率(粗玄米重/(I精玄米重×籾数))との間には、温度処理区にかかわらず同様の関係が成立した。一方IR72では高温区で積算気温に対して籾の充填率が標準区より低かった。そこで、籾のうち登熟初期に高温によって不稔となり登熟できない籾数を除いて籾の充填率を求めると、温度処理にかかわらず登熟期積算気温と同一の関係が得られた。従って、高温による登熟低下は同化産物供給の不足に基づくという仮説が、温度適応性が異なると考えられる品種でも成立した。現在、品種間の潜在的な子実成長の差異を検討中である。 水田において登熟特性が異なるとされる10品種のイネを栽培し、出穂後約一週間シュークロースと基本培地を加えた液体に切り穂をっけて異なる気温の元で穂培養を行った。その結果、籾の乾物増加速度には大きな品種間差があり、これから詳しい解析に入るところである。本システムが登熟の温度反応の実験系として有効であると見なされた。 次年度におけるオーストラリアにおける高温下コムギの登熟決定要因を明らかにするための打ち合わせを研究協力者のDr.Paltaと行った。Perthの連邦科学産業機構において次年度からの圃場試験を行うことで合意している。
|