研究課題/領域番号 |
16380025
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
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研究分担者 |
山田 昌彦 農業, 生物系特定産業技術研究機構・果樹研究所・ブドウ・カキ研究部, 研究室長 (00355439)
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10211997)
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 講師 (20330243)
羽生 剛 京都大学, 農学研究科, 助手 (60335304)
北島 宣 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70135549)
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キーワード | カキ / タンニン / 羅田甜柿 / 遺伝子発現 / フラボノイド / SSH |
研究概要 |
中国で新たに発見された完全甘ガキ‘羅田甜柿'と日本に存在する完全甘ガキ品種の類似点および相違点を果実のタンニン細胞の発育過程とタンニン物質のアセトアルデヒドとの反応性から類推する化学的特性の観点から調査した。その結果、タンニン細胞の発育は日本の完全甘ガキ品種同様、果実発育初期に停止し、これが‘羅田甜柿'が完全甘ガキとなる要因であることが確認されたが、タンニン物質の化学性は日本の完全甘ガキと異なり、アルデヒドとの反応性が強く、日本の渋柿品種と類似していた。さらに、タンニン合成のためのフラボノイド生合成系遺伝子(PAL、CHS、F3H、DFR)の発現を経時的に調査したところ、日本の完全甘ガキではこれらの遺伝子発現が果実発育初期から完全に停止しているのに対し、‘羅田甜柿'では日本の渋柿品種同様、果実発育後期までそれらの発現が維持されており、‘羅田甜柿'のタンニン生成制御機構が日本の完全甘ガキとは全く異なっていることが明らかとなった。 さらに、これまでの‘羅田甜柿'と日本の完全甘ガキ品種‘太秋'との交雑結果において、その後代(F_1)に完全甘ガキと渋柿が分離したことから、‘羅田甜柿'の完全甘ガキ形質が日本の完全甘ガキとは異なり、優性形質である可能性が類推されていたが、‘羅田甜柿'に日本の渋柿品種を交雑したF_1後代に昨年度初めて着果した果実を調査したところ、完全甘ガキが出現していることが確認され、‘羅田甜柿'が持つタンニン生成を抑制する因子が優性であることが明確となった。 また、‘羅田甜柿'と日本の完全甘ガキ品種‘太秋'の交雑後代(F_1)で分離した完全甘ガキと渋柿を用いたmRNAのサブトラクション(SSH)分析から、フラボノイド合成後のタンニン生合成に関与すると考えられる新規の遺伝子候補がいくつか獲得されており、現在その分析を進めている。
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