研究課題/領域番号 |
16380025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
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研究分担者 |
山田 昌彦 果樹研究所, ブドウ・カキ研究チーム, 上席研究官 (00355439)
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10211997)
北島 宣 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70135549)
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 講師 (20330243)
羽生 剛 京都大学, 農学研究科, 助手 (60335304)
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キーワード | 完全甘ガキ / タンニン蓄積遺伝子 / ゲノムライブラリー / 羅田甜柿 / 染色体歩行 |
研究概要 |
昨年度までの実験結果より、カキには果実へのタンニン蓄積を促進・助長する遺伝子が存在し、日本の完全甘ガキはこの遺伝子が変異したため、フラボノイド生合成系全てが停止し、タンニン蓄積が生育途中で停止すると考えられた。また、中国の完全甘ガキには、このタンニン蓄積に関与する遺伝子の作用を抑える別の優性遺伝子が存在し、この優性遺伝子によってタンニン蓄積が抑制されていることが示唆された。 そこで、本年度はまず、カキに存在するタンニン蓄積促進遺伝子を単離することを目的として、カキの近縁野生種で2倍体のマメガキから構築したゲノムライブラリーから目的遺伝子に連鎖する領域の塩基配列を利用してゲノミッククローンを単離し、染色体歩行により全長約300kbpのコンティグを構築した後、その全塩基配列を解読した。さらに、日本の完全甘ガキ‘次郎'のゲノムライブラリーからもこの領域に相当するゲノミッククローンを単離し、その塩基配列を決定した後、その相同性を比較した。その結果、塩基配列の挿入や欠損が見られる領域が数多く存在することが明らかとなり、これらを利用して日本の完全甘ガキを識別できるDNAマーカーを構築することができた。ただ、目的遺伝子を完全に特定することは出来ず、この点、今後の課題が残った。 また、中国の完全甘ガキにのみ存在するタンニン蓄積促進遺伝子の作用を抑える優性遺伝子の単離のための基礎データーを得るため、昨年度得られたこの優性遺伝子に連鎖する領域の塩基配列を利用して、中国の完全甘ガキ‘羅田甜柿'から構築したゲノムライブラリーからゲノミッククローンを単離し、その全塩基配列(約40kbp)を解読した。この塩基配列の解析から、この領域内に中国の完全甘ガキにのみ生じた大きな挿入配列がある可能性が示唆され、今後、中国の完全甘ガキ形質発現に関与する遺伝子の単離のための重要な基礎データーを得ることができた。
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