研究概要 |
自家和合性品種‘おさ二十世紀'(S2S4^<sm>)に由来するS4^<sm>ハプロタイプは,S4ハプロタイプからS4-RNase遺伝子を欠失しているが,花粉側S4遺伝子の機能は有している。したがって,S4とS4^<sm>ハプロタイプのゲノム構造を比較して欠失領域を特定することにより,欠失領域外に存在する花粉側S遺伝子を効率的に探索できると考えられる.平成17年度はS4^<sm>ハプロタイプの欠失領域の特定を中心に研究を展開した. S4-RNaseの上流約220kb,下流約370kbをカバーするBACコンティグを構築した。BACクローンの末端や内部の配列から設計したプライマーを用いてS4ホモ個体とS4^<sm>ホモ個体のゲノムDNAを鋳型にPCRを行った結果,S4^<sm>プロタイプはS4-RNaseの上流約50kbから下流約200kbまでの計250kbを欠失していることを明らかにした.現在,欠失領域外の塩基配列の決定を進め,ORFを検索している.一方で,花粉側3遺伝子候補のS対立性を検証するため,‘長十郎'(S2S3)のBACライブラリーからS2-とS3-RNaseを含むクローンを単離し,整列化した. 切片作成方法の検討により花柱下部の花粉管誘導組織における自家花粉管の挙動を電子顕微鏡で観察することが可能になった.再分化能が高い‘豊水'と‘新星'の葉片にAgrobacteriumを感染させ,感染・選抜条件を検討したが,形質転換体は得られなかった.ビオチン化S-RNaseを用いたaffinity capture法により単離した花粉管伸長阻害時にS-RNaseと相互作用をする因子をLC-MSで解析した.
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