研究課題/領域番号 |
16380037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
曵地 康史 高知大学, 農学部, 教授 (70291507)
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研究分担者 |
木場 章範 高知大学, 農学部, 助教授 (50343314)
大西 浩平 高知大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (50211800)
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キーワード | Ralstonia solanacearum / 青枯病 / 青枯病-宿主植物相互作用 / 細胞間隙 / タイプIII分泌タンパク質 |
研究概要 |
青枯病菌の侵入直後の細胞間隙での増殖に関わる基盤研究として、青枯病菌の増殖に関わる因子を探索した結果、青枯病の増殖に必須である葉酸が、植物の導管には存在するが、細胞間隙には存在せず、細胞間隙での増殖のためには青枯病菌自らの葉酸生合成を必要とすることを明らかにした。さらに、葉酸生合成に伴い、能動的輸送系の構築または機能に関与すると考えられるnosオペロンの発現が行われる。nosオペロンの欠損により、植物との相互作用に関わるタイプIII分泌系と導管への侵入等に関わるタイプII分泌系にもならず他の能動的輸送系によるタンパク質の分泌が著しく損なわれることが明らかとなった。また、nosオペロン欠損株の表現系から、植物との相互作用にはタイプIIIタンパク質のみならず他の能動的輸送系によって分泌されるタンパク質が関わることが示唆された。青枯病の病原性の質的な制御に関わるタイプIII分泌系の構築とタイプIIIタンパク質の分泌に関わるhrp遺伝子群の発現と、青枯病原性の量的に制御に関わる菌体外多糖(EPS)の生産との相互関係を解析した。その結果、植物感染によって誘導され、植物との相互作用にかかわり青枯病菌の細胞間隙での増殖を可能にするhrp遺伝子群の発現制御タンパク質HrpBタンパク質は、タイプII分泌系の構成タンパク質をコードするgspオペロンの発現を正に制御し、多糖分解酵素の分泌をうながし、青枯病菌の導管への侵入を可能にすることを明らかにした。導管に侵入した青枯病菌の増殖によって蓄積される30H-PAMEによるクオラムセンシングによってPhcAタンパク質が脱抑制され、萎凋症状の誘導に関わる菌体外多糖の合成を誘導する。この脱抑制されたPhcAタンパク質はprhIRの発現を抑制することにより、hrp遺伝子群を含むHrpBタンパク質によって発現が誘導される遺伝子の発現を抑制しており、青枯病菌の増殖を介して、青枯病菌の病原性の質的な制御と量的な制御の切り換えが行われていることを明らかにした。
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