研究課題
基盤研究(B)
アブラナ科野菜類炭疽病菌は、モデル植物シロイヌナズナに感染することから、病原糸状菌-植物間の相互作用を解明するための実験系として注目されている。本研究における病原菌側からのアプローチとして、本菌の感染器官分化時に発現している遺伝子の網羅的な解析を行った。本菌の各感染器官(胞子、発芽管、付着器、侵入菌糸)よりRNAを回収し、完全長cDNAライブラリーを作成した。その中から、任意の1700クローンについてシーケンス解析を行い、本菌の感染器官分化時に発現している遺伝子群の配列情報を得た。個々の配列情報について、糸状菌および酵母ゲノムデータベースを対象にしたBLAST検索を行い、相同性から予測される機能に基づき遺伝子分類を行った。その結果、1110個が既知遺伝子と相同性を示し、その内訳は遺伝子発現20%、細胞分化21%、代謝20%、機能未知39%であった。一方、植物側からのアプローチとして、シロイヌナズナ抵抗性遺伝子の探索を進めた。アブラナ科野菜類病炭疽病菌337-5系統に対して抵抗性を示すシロイヌナズナIn-0の抵抗性が優性の1遺伝子により支配されていることが示唆された。この抵抗性を支配する遺伝子を児0π337とし、この遺伝子と極めて密接に連鎖している4番染色体上腕上のCAPSマーカーを得ることに成功し、このマーカーをもとに2種のRCH337候補遺伝子のクローニングとCol-0およびCol-0の対象遺伝子のT-DNA破壊系統に対する遺伝子導入に成功した。さらに、アブラナ科野菜における防御応答遺伝子の挙動解析を目的としてハクサイのESTライブラリーの作成と病原菌感染時のアレイ解析を行った。2,166個のcDNAクローンからなるESTライブラリーから1,820個のcDNAを搭載したマイクロアレイを作製し、このアレイを用いてシロイヌナズナマイクロアレイを対象として病原糸状菌に対する両植物の遺伝子発現応答について比較解析を行った。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (11件) 図書 (4件)
Molecular Microbiology 64
ページ: 1332-1349
Hokkaido University Press
ページ: 21-27
Plant Biotechnology 23
ページ: 503-506
Journal of General Plant Pathology 71
ページ: 190-195
Proceedings of PSJ Plant-Microbe Interactions Symposium
ページ: 131-140
Proceedings of the 9th JAPAN-US seminar on plant-pathogen interactions, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, Netherlands
ページ: 61-72
Proceedings of PSJ Plant-Microbe Interactions Symposium Mechanisms of Host Specificity in Plant-Microbe Interactions
Journal of General Plant Pathology 70
ページ: 93-96
Molecular Plant-Microbe Interactions 17
ページ: 749-762
Research on plant disease press
ページ: 82-85