研究概要 |
これまでに農薬長期連用圃場から単離された有機塩素系殺虫剤γ-HCH(γ-hexachlorocyclohexane)の分解菌はSphingomonas paucimobilis SS86(1986年に単離)1株のみである。より多様なγ-HCH分解菌が単離できれば、それより新規な脱塩素遺伝子が取得できる可能性があると考え、集積培養法を用いない方法によるγ-HCH分解菌の単離と得られた分解菌のγ-HCH分解系遺伝子の解析を行った。 圃場のγ-HCH連用区土壌にγ-HCHを添加してインキュベートした後に、土壌の希釈液を直接γ-HCH無機寒天培地に塗布して培養した。クリアゾーンを伴って形成したコロニーを純化してγ-HCH分解菌5株を得た(SS04-1,2,3,4,5株)。5株ともSS86株と同等のγ-HCH分解能を有していた。この5株は16S rDNA塩基配列からともSphingomonas sp.に分類され、16S-23S ITS領域の塩基配列から、2系統に分けられた。5株のゲノムDNAを鋳型とし、SS86が有するγ-HCH分解酵素遺伝子linA,B,C,D,Eの塩基配列をもとに設計したそれぞれのプライマーを用いてPCRを行ったところ、すべてについて増幅が確認された。PCR増幅産物をクローニングして塩基配列を決定したところ、配列はlinAとlinC,D,EはSS86のものとほぼ相同であったがlinBは8塩基の部分で相違が見られた。linBは基質特異性の広いハロアルカン脱ハロゲン酵素であることが知られている。今回NA塩基配列レベルで多様なlinBを取得することができた。
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