研究課題/領域番号 |
16380048
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
横山 正 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (70313286)
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研究分担者 |
有馬 泰紘 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (90011973)
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キーワード | 根粒菌 / シンビオソーム / ダイズ / 静菌 / マクロアレイ膜 / バクテロイド / Bradyrhizobium / Peri Bacteroid Space |
研究概要 |
根粒菌がダイズ根粒のシンビオソームでバクテロイドという窒素固定器官に変化する制御機構を解明するため、根粒シンビオソーム溶液の解析を行った。ダイズ根粒よりシンビオソームを単離し、低張液中で破壊し、内容物を抽出することでダイズシンビオソーム中の溶液(Peri Bacteroid Space溶液の略号としてPBS溶液と以後呼称する)を単離した。次に、ゲル濾過用カラムを用い分子量10000でまず溶液を分画し、アミノ酸、糖成分等をPBS溶液と同じにした人工PBS溶液に各画分を加え、根粒菌を添加して4日培養し希釈平板法を用いて、各画分の根粒菌の増殖に与える影響を評価した。その結果、生のまま根粒菌に投与すると、(1)根粒菌の生育が抑制され静菌状態になること。また、PBS溶液を分子量10000で区分し、各画分を別々に根粒菌に与え増殖効果を調べた結果、(2)分子量10000以上の高分子画分は増殖抑制を示さないこと、(3)低分子画分を根粒菌に投与すると全く増殖しないことを見いだした(市田紗智子 東京農工大学大学院農学教育部修士論文、2005)。つまり、シンビオソーム中で根粒菌は低分子未知物質と高分子未知物質の2つの物質が相互作用することで静菌状態に置かれていることが推定されてきた。また、(4)PBS溶液を処理し2時間経過したダイズ根粒菌USDA110株と根粒中でバクテロイド化したUSDA110株から全RNAを抽出し、各種mRNAの転写変動を全ゲノムを網羅したマクロアレイ膜を用いて網羅的に解析した結果、両者の遺伝子応答が非常に類似していることを見いだした。両方で転写が増大した遺伝子を選びその遺伝子を破壊すると共に、その遺伝子の転写変動をモニター可能なレポーター組み換え体を作成し、作成した遺伝子破壊組換体は、PBS溶液を添加するとβ-ガラクトシダーゼを生産し、PBS溶液中に未知遺伝子誘導物質が存在することが分かった。
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