研究分担者 |
神崎 浩 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60183787)
山本 幹博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60274015)
嶋 一徹 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (80274017)
江澤 辰広 北海道大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40273213)
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研究概要 |
昨年度に引き続き,多重共生系構築の基礎となる多様なフランキア株,外生菌根菌の分離と確保に努めると共に,フランキア株の自然条件下における多様性の解析,フランキア株の環境ストレス耐性の種類と強度の調査を行った。 分離保存菌7株のnifD-K IGS領域のPCR増幅産物を2種の制限酵素で消化し,得られたバンドパターンからRFLP解析を行うと,分離源を異にする5菌株が識別できた。分離菌を接種して形成した根粒のフランキア菌株も,このRFLP解析により識別同定できたので,nifD-K IGS領域のPCR増幅産物のRFLP解析は,根粒内フランキアの識別同定に有効な方法であることが明らかとなった。さらに,自然条件の酸性土壌に生育しているオオバヤシャブシ根粒よりDNAを抽出し,nifD-K IGS領域のPCRを行ったが,増幅産物が得られる確率は10%以下であり,プライマーの設計やPCR増幅領域の変更など改善を加えないと,自然条件下の植物に感染しているフランキアの識別同定には適用できないと判断された。 酸性土壌(pH4.3〜4.8)に生育しているハンノキ属植物のヒメヤシャブシから分離したフランキアApel株が,高い耐酸性を有するという確証は得られなかったが,高温耐性を有する可能性のあることが示唆された。Apel株の生育は,同じハンノキ属植物から分離したAhil株,Asil株よりも高温域にあり,オオバヤシャブシを用いて,高温条件下(昼夜温度35℃/35℃)で接種試験を行ったところ,Apel株接種植物の生育は有意に旺盛であった。また,Apel株接種植物の中には,特に生育の著しい固体が現れる頻度が大きく,移植用の活力ある固体の確保には.有用な菌株と考えられた。 現在,過去3年間で得られた成果と今年度の成果を総括し,環境ストレス耐性に優れた有用な共生系構築のための指針をまとめている。
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