研究課題/領域番号 |
16380052
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤田 耕之輔 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (90002170)
|
研究分担者 |
実岡 寛文 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授 (70162518)
|
キーワード | 塩ストレス / エクトイン / 形質転換 / 光合成 / シンク / ソース / 果実径 / 酸化ストレス |
研究概要 |
1.エクトイン合成遺伝子による形質転換体の塩ストレス耐性の評価とその機構解明(実岡):トマトの形質転換体T_3植物を用いて、塩ストレスに対する耐性を評価するため、光合成・^<13>C転流、シンク能(果実の径変化)および酸化ストレスより評価した。1.形質転換体の塩ストレス耐性の評価:ポット(10-L)で土耕栽培したトマト野生株(品種:桃太郎)および形質転換体(T_2植物)を用い、果実肥大期に、塩ストレス処理(NaCl(0-100-200mM)添加処理)を行い、処理(0〜28日間)が、相対生長量、各器官のエクトイン集積(NMRによる定量)、光合成能、^<13>C転流および酸化ストレス(パーオキシダーゼ活性、マロンジアルデヒド濃度)などのパラメータに与える影響を調査した。これらの結果より、形質転換の塩ストレス耐性機構について解析した。 2.塩ストレス耐性機構の解明(藤田):上記と同様に土耕栽培したトマトの形質転換体とその野生株の比較のもとに、果実肥大期における塩添加処理が各種のパラメータに与える影響を比較検討し、エクトイン生成が塩ストレス耐性機構に与える影響を解析した。(1)ソース・シンク関係からの解析:塩添加処理が光合成速度、果実の径変化および^<13>C-標識化合物の転流などに与える影響を一斉に連続測定し、どのパラメータが最初にもっとも強く阻害を受けるかを検討した。その結果、葉から他部位への^<13>C転流は、塩ストレス下で形質転換体で対象区を上回った。すなわち、エクトイン生成によって、光合成産物の転流が促進され、塩ストレス耐性が強化されるものと推定される。(2)酸化ストレスからみた塩ストレス耐性の強化:塩ストレスが葉のパーオキシダーゼ活性、マロンジアルデヒド濃度に与える影響を測定した。その結果、形質転換によって、塩ストレス下におけるパーオキシダーゼ活性が上昇し、マロンジアルデヒド濃度の上昇が抑制された。これらの結果より、形質転換によるエクトイン生成によって塩ストレス耐性が強化される一因として、酸化ストレスの軽減が関与すると推定される。
|