1)エンドファイトによる固定窒素が効率よく宿主植物に移行する条件として、固定窒素の菌体外への放出が重要と考えられる。そこで、前年度までにサツマイモとサトウキビから単離した窒素固定エンドファイト細菌39菌株を供し、培地中へのアンモニア放出の有無を調査した。しかし、固定窒素を菌体外に放出している菌株は見いだせなかったので、エチレンジアミン(EDA)、ニトロソグアニジン(NTG)を化学変異誘導物質として供し、アンモニア放出に関する変異株の作出を試みた。その結果、3タイプの変異体、a)炭素源としてsugarcane sugarを添加しても生育が悪く、培養3-4日でコロニーの中央部が茶褐色に変化、b)生育は悪いが培地を青色に変化させアンモニアの放出を示唆する、c)無窒素培地で継代培養できない系統を単離した。 2)サトウキビとサツマイモから単離し、蛍光を発するGFP遺伝子の導入に成功した菌株を異宿主のブロッコリーに接種したところ、Enterobacter sp.が異宿主植物であるブロッコリーにも感染し増殖することが認められた。 3)葉緑素の他にも様々な蛍光物質を含むと予想される茎と緑葉におけるGFP標識菌株の識別を検討する目的でHerbaspirillum B501gfp1をサトウキビの茎の横断切片上ならびに緑葉の表面上に直接接種して経時的に接種菌の動向を追跡した。その結果、サトウキビ茎の柔細胞に接種されたHerbaspirillum B501gfp1の個体数は2日後には一旦減少したが、4日目には増加していた。しかし、その後にはほとんど検出できないまでに減少するなど経時的に大きく変動することが示された。
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