研究概要 |
1.糞便サンプルから未知の7α-脱水酸化活性を持つ細菌の分離(横田/和田) 嫌気チャンバーを用いて絶対嫌気条件で糞便サンプルを希釈後,嫌気性菌用平板培地にてコロニー分離を行い,3名の糞便サンプルから合計619株の候補株を収集保存した.7α-脱水酸化活性を持つ菌株のスクリーニングはコール酸(CA)/ケノデオキシコール酸(CDCA)を含む液体培地で,嫌気チャンバー内で分離菌株を培養し,反応生成物(デオキシコール酸(DCA),リトコール酸(LCA),その他)の有無を薄層クロマトグラフィー(TLC)により検出した.活性を認めた株は137株であった.再現性の確認により候補株を11株に絞った.反応生成物をHPLC,GC-MS分析により同定中である. 2.7α-脱水酸化活性を持つ細菌の同定(湯本/横田) 1.で得られた候補株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を決定することにより,菌種を簡易同定した.今まで報告のなかった変換菌として,Clostridium innocuum, Bacteroides ovatus, Bacteroides fragilis, Bacteroides sp., Escherichia fergusonii, Enterobacter sp., Uncultured bacteriumの計7株が取得できた.TLCによる検出では,これらの変換菌はCDCAからLCAを生成した. 3.腸内細菌の生育/生理におよぼす二次胆汁酸の影響(横田) 腸内乳酸菌に対する二次胆汁酸の生育阻害機構をエネルギー代謝解析および細胞膜に対する損傷の両面から検討し,生育阻害濃度におけるプロトン濃度勾配の解消によるエネルギー代謝阻害,および膜損傷によるカリウムイオンや紫外線吸収物質の漏出によることを明らかにした. 4.7α-脱水酸化反応機構の解析と反応制御への応用(横田) 本項目は未着手である.
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