枯草菌ゲノムに接合伝達プラスミドを再構築する事を目標として、まず納豆菌由来の接合伝達プラスミドpLS20をpLS20保持株(BEST323)から超遠心法により大量調製した。大まかな制限酵素マップを作成し、EcoRI断片を大腸菌でサブクローニングし、約8割をカバーするライブラリーを得た。これをもとに、解読困難なリピート配列(数kb)を除く約65kbの塩基配列を決定した。接合伝達に関わる遺伝子は幾つか確認できたがクラスターを構成していない点と、hypothetical proteinも多数存在する点から、pLS20全体を枯草菌168ゲノムに導入する方針を固めた。pLS20を組み込むために、pBR322配列に大腸菌で作製した2つの足場配列を並べたプラスミドをまず構築した。これを枯草菌ゲノム中に既に組み込んであるpBR322配列に相同組み換えを利用して組み込んだ。足場配列を持つ枯草菌にpLS20のDNAを与えて取り込ませ、足場配列同士の組み換えで、足場に挟まれたpLS20DNAのクローニングが完成する。65kbを約15kb(oriを含む)約53kb(oriを含まない)に2分割して、これらを別々に組み込んだ株が薬剤選択で得られた。これらの株の構造確認と、接合伝達のアッセイのためにこれらの株およびBEST323株にpUB110の導入を行っている。またBEST323からpLS19の脱落株作製中に、近縁の納豆菌株から脱落しにくい小型プラスミド(pLS30)を偶然見い出した。安定なプラスミドは接合伝達に必須なのでこのプラスミドの解析も開始した。
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