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2005 年度 実績報告書

脳の脂質恒常性に関与するATP依存トランスポーターの分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 16380070
研究機関京都大学

研究代表者

植田 和光  京都大学, 農学研究科, 教授 (10151789)

キーワードABCタンパク質 / 脂質 / トランスポーター / 脳 / コレステロール / アルツハイマー病 / 自己免疫疾患 / 膜蛋白質
研究概要

本研究では、脳内のコレステロール恒常性維持メカニズムをトランスポーターの観点から明らかにすることを目的に、ABC蛋白質の生理機能および分子メカニズムを中心に研究を行った。
ABCA1のC末端にThrombin切断部位とヒスチジンタグを融合したタンパク質をバキュロウイルスベクターに組み込み、Sf9細胞に感染させた。発現量は、感染開始後48時間から72時間で最大となり、全膜タンパク質の約1%程度であった。膜画分を0.8%(w/v)のドデシルマルトシドによって可溶化し、可溶性画分からNi-NTAアガロースによってABCA1を精製した。精製純度は約50%であった。さらに限外濾過法を用いて濃縮後に陰イオン交換クロマトグラフィーあるいはレクチンカラムを用いてさらに精製を行った結果、最終的にABCA1を約90%の純度で精製できた。次に、精製ABCA1のATP加水分解活性を測定した。その結果、ABCA1は、可溶化状態でATP加水分解活性を示し、大豆脂質の添加によって約2倍に増加した。脂質排出活性が損なわれるATP結合ドメイン変異体(K939M)ではATP加水分解活性を示さず、また脂質による誘導も見られなかった。さらに、合成脂質だけで構築したリポソームに再構成した結果、ABCA1はホスファチジルコリンを多く含んだリポソームに再構成すると最も強くATP加水分解活性が誘導されることが明らかになった。ホスファチジルセリンやホスファチジルエタノールアミンを含むリポソームで再構成すると活性が減少した。また、ABCA1と最もアミノ酸配列相同性が高いABCA7がABCA1と同様のリン脂質排出活性を持つにもかかわらず、弱いコレステロール排出活性しかもたないことを明らかにした。また、新たに作成したヒトABCA7に対する抗体を用いた組織染色の結果、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の唾液腺内に陽性細胞が認められた。シェーグレン症候の患者18名中10名の唾液腺にABCA7陽性形質細胞が浸潤しており、ドライマウス、ドライアイなどの症状に関与している可能性があり興味深い。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] ABCA7, a molecule with unknown function.2006

    • 著者名/発表者名
      Abe-Dohmae S
    • 雑誌名

      FEBS Lett. 580

      ページ: 1178

  • [雑誌論文] Purification and ATPase activity of human ABCA1.2006

    • 著者名/発表者名
      Takahashi K
    • 雑誌名

      J Biol Chem. (印刷中)

  • [雑誌論文] Detection of ABCA7-positive cells in salivary glands from patients with Sjogren's syndrome.2005

    • 著者名/発表者名
      Toda, Y
    • 雑誌名

      Pathol.Int. 55

      ページ: 639

  • [雑誌論文] Cloning of ABCA17, a novel, rodent sperm-specific ATP-binding cassette (ABC) transporter that regulates intracellular lipid metabolism.2005

    • 著者名/発表者名
      Ban, N.
    • 雑誌名

      Biochem J 389

      ページ: 577

  • [雑誌論文] Heterogeneity of High Density Lipoprotein Generated by ABCA1 and ABCA72005

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, M.
    • 雑誌名

      J Lipid Res 46

      ページ: 1703

  • [雑誌論文] Fenofibric acid, an active form of fenofibrate, increases apolipoprotein A-I-mediated high-density lipoprotein biogenesis by enhancing transcription of ATP-binding cassette transporter A1 gene in a liver X receptor-dependent manner.2005

    • 著者名/発表者名
      Arakawa, R.
    • 雑誌名

      Arterioscler Thromb Vase Biol 25

      ページ: 1193

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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