研究概要 |
前年度に開発したD-グルコサミン骨格を有し、2位にアントラセンイミド基を有し、1,3,4,6位をアセチル基で保護した蛍光不斉誘導体化試薬を用い、α-トコフェロールをグリコシル誘導体化し不斉識別能の評価を行った結果、全8種の光学異性体の分離を達成することができた。さらに光学活性体標準品を化学合成し、各異性体の溶出位置を決定した。 天然物化合物への応用展開として、C29長鎖アルキル中に7〜12個のメチレン鎖で隔てられた位置にアセトキシ基と分岐メチル基を有するラセンウジバエの性フェロモンの粗抽出液からの検出を行うため2-(2,3-anthracenedicarboximido)cyclohexyl carboxylic acidによる誘導体化と、精密分析のためのLC-LCシステムの構築を行った。その結果、LC-LCシステムにより來雑成分の影響を効率的に除去することができた。また、試薬の両エナンチオマー体をそれぞれ用い分析を行うクロスチェック法により、高精度で多量の不純物を含む粗抽出試料からの超微量な成分が含まれるか否かを決定する方法を確立し、それぞれ4種の立体異性体が存在する2種の構造異性体成分(計8種の異性体)の中から、3種の異性体が検出された。このLC-LC法とクロスチェック法の有効性をさらに実証するため、2-(2,3-anthracenedicarboximido) cyclohexanolを用い、アズキゾウムシの性フェロモンである2,6-dimethylcctadienoic acidの異性体分析に応用し、粗抽出液から4種の光学異性体を検出した。それぞれのピークの面積比からその組成比を明らかにすることができ、化学合成した4種の異性体を用い生物活性を測定したところ、それぞれ単独で異性体を作用させたものより、本分析法で得られた結果を基に各異性体を混合した混合物作の方が高い活性を示すことを明らかとすることができ、本法の実用性の高さを実証することができた。
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