我々がこれまでに動物モデルで観察した、難消化性オリゴ糖ラフィノース(RAF)によるアレルギー抑制効果について、RAFと同様にα-ガラクトシル基をもつ糖脂質α-ガラクトシルセラミドにより活性化されることが知られているNKT細胞が関与すると想定し、以下のような検討を行った。 1.Brown NorwayラットのOVA特異的アレルギー性気道好酸球浸潤モデルを用い、各種難消化性オリゴ糖を食餌に添加したときの影響を比べた結果、α-ガラクトシル基をもつRAF及びα-結合ガラクトオリゴ糖(GOS)は好酸球浸潤を抑制したが、α-ガラクトシル基をもたないフラクトオリゴ糖(FOS)及びキシロオリゴ糖(XOS)は無効であったので、α-ガラクトシル基がこのモデルのアレルギー性炎症抑制に関与することが示唆された。 2.In vivoにおいてオリゴ糖がNKT細胞の活性化に及ぼす影響についてコンカナバリンA誘導肝炎及びエンドトキシンショックのマウスモデルを用いて検討した結果、RAF及びGOSは抑制効果を示さなかった。また、in vitroにおけるマウスのNKT細胞活性化(サイトカイン産生)に対してもRAF及びGOSの影響は見られなかったので、今のところRAFによるアレルギー抑制効果にNKT細胞が関与することを証明できていない。 3.細胞性免疫が関与する遅延型過敏症に食餌オリゴ糖が及ぼす影響をマウスを用いて調べた結果、RAF、GOS、FOS及びXOSのいずれも抑制効果を示したので、オリゴ糖のプレバイオティクス効果としてIV型アレルギーが抑制される可能性が示唆された。
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