研究概要 |
動物実験においてα-結合ガラクトオリゴ糖の摂取がI型アレルギー反応を抑制する機構を明らかにするため、α-結合ガラクトオリゴ糖がNKT細胞の活性化の修飾を介してアレルギー抑制効果を発現するものと想定し、検討を行ってきた。これについて今回は以下の1.に示す検討を行った。また、α-結合ガラクトオリゴ糖はアレルギー惹起時の炎症性細胞浸潤を抑制するので、その機構について以下の2.に示す検討を行った。 1. BALB/cマウスの脾細胞をex vivoで培養し、内因性リガンド(iGb3)および外因性リガンド(αGalCer)で刺激すると、IFN-γ産生はこれらのリガンドにより増加し、また抗CD1d抗体の添加により抑制されたので、このときのIFN-γ産生にはCD1d拘束性のNKT細胞活性化が寄与することが示唆された。しかしながら、α1,1、α1,2、α1,3、α1,4及びα1,6ガラクトビオースを培地に添加してもIFN-γ産生は変化しなかったので、CD1d拘束性のMT細胞活性化にα-結合ガラクトビオースは影響しないことが示唆された。 2.抗原感作したBALB/cマウスの腹腔に抗原を投与した後、屠殺して腹腔洗浄液を回収し、それに含まれる細胞をフローサイトメトリで計数することにより、in vivoにおける細胞浸潤を評価した結果、α-結合ガラクトオリゴ糖を摂取させたマウスにおいて、細胞浸潤が減少することが示された。また、腹腔浸潤細胞あるいは末梢血白血球はin vitroにおいて腹腔洗浄液上清に対して走化性を示し、これはα-結合ガラクトオリゴ糖摂取マウスの腹腔洗浄液上清で低下した。しかしながら、培地にα-結合ガラクトビオースを添加しても細胞遊走は変化しなかった。したがって、α-結合ガラクトオリゴ糖はケモカイン発現を抑制することが示唆された。
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