研究概要 |
1.内分泌撹乱作用が疑われるビスフェノールA(BPA)の高感度検出法として、表面プラズモン共鳴(SPR)センサを用いる方法を開発した。検出は間接競合イムノアッセイ法を用いた。SPRによるBPAの検出下限は1ppbであった。 2.内分泌撹乱物質として疑われているノニルフェノール(NP)に対する抗体を作製し、検出に使用した。本抗体は、直鎖状アルキル基を持つNPよりも分岐型アルキル基を持つNPに対し強い結合性を示した。SPR法を用いる間接競合イムノアッセイによりNPは0.5ppmレベルの検出が可能であった。 3.食品アレルゲン物質であるオボアルブミン(OVA)とリゾチームを検出するリアルタイムイムノーRCR法を開発した。抗マウスIgG抗体を固定化した磁気ビーズを免疫反応に使用した。pBluescriptから増幅したレポーターDNAを使用した。OVAとリゾチームは、それぞれ0.1ppb及び0.1ppmレベルで検出可能であった。 4.食品試料から単離され、市販の生化学スクリーニングキットで同定されたバチルス属及び関連属細菌を、選抜されたプライマーを用いるRAPD分析と形態学的観察(コロニー、栄養細胞及び胞子)を組み合わせることにより分析した。細菌コロニーから得た鋳型DNAのRAPD分析により、B.brevis, B.citculans, B.sphaericus, B.subtilis及びB.thuringienesisが本RAPD分析と形態観察から同定可能であった。 5.B.cereusとB.thuringienesisを区別し、嘔吐毒食中毒を引き起こすB.cereusを検出するため、PCRに基づく方法を開発した。乳製品及び乳加工工場から単離された49株のB.cereusを特徴付け、これらの株の検出にPCRアッセイを適用し、良好な結果を得た。 6.SEBを増殖培地として用い、37℃で18時間培養した増菌液で調製したゲノムDNAから6種の主要な食中毒細菌を一斉迅速に検出する方法を開発した。標的細菌特異的なプライマーセット及び蛍光標識プローブを用いて、5'-nuclease法によるmultiplex real-time PCRによって、2本の反応チューブで6種の主要な食中毒細菌を同時検出可能であった。
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