研究課題
基盤研究(B)
コバラミン(ビタミンB_<12>)はビタミンの中で最大の分子量を持ち、非常に複雑な構造の水溶性ビタミンで、所要量は成人で一日当たり2.4μgと、非常に微量である。しかし、コバラミン欠乏時、成長遅延、神経障害、進行性の悪性貧血など、様々な症状を呈する。細胞内でコバラミンはメチオニンシンターゼ(MS)とメチルマロニル・CoAをスクシニル-CoAに変換するメチルマロニル-CoAムターゼ(以下MCM)で機能する。MCM活性が低下するとメチルマロン酸尿症を引き起こし、その症状は重篤なケトアシドーシスであり、特に先天性のメチルマロン酸尿症患者にとっては生命に係わる問題である。ラット肝臓におけるMCM活性を測定したところ、コントロール群においてもMCMのホロ活性はトータル活性(ホロ酵素+アポ酵素)の約3%であり、MCMはそのほとんどがアポ酵素として存在していた。しかしながらMCMmRNAレベルには変化は見られず、MCMタンパク質発現レベルの上昇は転写の活性化によるものではないことが示唆された。培養細胞(COS-7細胞)系でのMCMはコバラミンを大過剰量添加してもポロ酵素はトータル酵素の10%程度であり、ラット肝臓と同様にMCMの大半はアホ酵素であった。また、MCMタンパク質の安定性(半減期)に及ぼす培地中のコバラミン濃度の影響を調べたが、コバラミン供給細胞と欠乏の間でMCMタンパク質の安定性に差は見られなかった。先天的な遺伝子異常によるメチルマロン酸尿症はコバラミン応答性のメチルマロン酸尿症として8種類の存在が知られている。このうち、cblA型と呼ばれるメチルマロン酸尿症はミトコンドリア内におけるコバラミン補酵素合成系に障害があり,MCMの補酵素であるアデノシルコバラミンが合成されず、MCMの活性が低下すると考えられている。近年、このcblA型メチルマロン酸尿症の原因遺伝子としてMMAAが同定されたが、その生理機能については未だ何の知見も得られていない。そこで、MMAAの生理機能を解明することを目的として本研究を行った。cblA型メチルマロン酸尿症患者由来の繊維芽細胞において、ホロMCM活性は検出されなかった。また、この細胞ではMMAA遺伝子に変異が起こっていた。そこで、この細胞に変異のないMMAA遺伝子を導入し、MCMのホロ活性が回復した。このMMAA遺伝子はタンパク質の存在が確認されていないので、組み換え体MMAAを用いてポリクローナル抗体を作成し、細胞内局在を調べたところ、ミトコンドリアの外膜に局在していた。故にMMAAタンパク質はミトコンドリア外膜においてコバラミンの輸送、あるいは補酵素型への変換に関与するタンパク質であると考えられる。
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