研究課題/領域番号 |
16380098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川邉 洋 新潟大学, 農学部, 教授 (80126036)
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研究分担者 |
権田 豊 新潟大学, 農学部, 助教授 (10303116)
林 拙郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024584)
近藤 観慈 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60335148)
沼本 晋也 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60324555)
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キーワード | 斜面崩壊 / 素因 / 応力開放 / 重力性クリープ / 座屈 / 塩類風化 / 国際情報交換 / 台湾 |
研究概要 |
本年度は、1999年に台湾の集集地震で発生した2つの大規模崩壊-九〓二と草嶺-を対象に、崩壊後の地形変化とそれによる再不安定化について、(1)上載荷重の急激な除去による応力開放、(2)重力性クリープによる岩盤の緩みと座屈、(3)地下水による塩類風化、に注目して調査・検討した。 1.過去150年の崩壊の記録が残っている草嶺山について、地震と崩壊の有無の関係を調べた。その結果、草嶺での推定最大加速度と崩壊発生との間には、明瞭な相関は見られず、誘因である地震動だけで崩壊の発生を説明することができないこと、すなわち素因の影響が示唆された。 2.応力開放による地盤隆起と重力性クリープによる座屈褶曲の可能性を、まず一次近似としての簡単なモデルを作り試算してみた。その結果、地層の物性によってはこれらの現象が起こりうること、座屈褶曲の位置は斜面下部の100m程度の間であることが導かれた。 3.両崩壊地の下部斜面のごく表層部に、小規模な座屈褶曲が見られた。そこで、より深い層が関与する大規模な地盤隆起と座屈褶曲を検出するため、両崩壊地でのGPS測量の準備を整え、9月に観測を開始した。今後、1年に1〜2回の観測を継続していく予定である。 4.地盤隆起による表層5m程度までの強度変化を追跡するため、各崩壊地に3本の測線を設けて、簡易弾性波探査を開始した。これも年に1〜2回のペースで継続していく。 5.九〓二の崩壊面には方解石(炭酸カルシウム)、草嶺の崩壊面には芒硝(硫酸ナトリウム)が析出していた。それらの析出に伴う結晶圧等と斜面の不安定化の関係については検討中である。 6.国内における調査対象地として、新潟県中越地震による崩壊地を検討している。雪解けを待って観測に入れるように、事前の現地調査、GPSの準備等を行った。
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