研究概要 |
首都圏での大規模住宅開発区域である多摩丘陵にある日野市の住宅地の試験地において、ボーリング孔内に設置した三成分地震計,間隙水圧計(動的・静的)観測を実施した。新潟県中越地震時の記録を検討したところ,間隙水圧は地震時に動的な変化を示したが,特に上下動と高い相関を持つことがわかった. 同じボーリングのコアサンプルに対して地震時地すべり再現試験を行なった。八王子市側及び日野市側の二つの試験地においては、谷埋め盛土であるため、地下水位が浅く、上総層群の砂質土が常時に飽和されているため、自然排水条件の繰り返し載荷試験を行なったところ、高い過剰間隙水圧が発生し、すべり面液状化現象が発生することがわかり,将来発生すると考えられている首都圏直下型地震時に高速地すべりが発生することが推定された. 10月に発生した平成16年新潟県中越地震発生後,現地調査を行い,緩傾斜の再活動地すべりでありながら高速で長距離運動し地すべりダムを形成した東竹沢地すべり地の源頭部のすべり面となった泥岩層直上に残っていた土砂を採取し,地すべり再現試験を実施したところ,すべり面液状化が発生し,緩傾斜でありながら,高速運動を示したメカニズムを明らかにすることが出来た. 佐々が代表の平成13〜15年度科学技術振興調整費先導的研究(APERIF)で開発した地すべり運動数値シミュレーションプログラムを用いて、八王子市、日野市および東竹沢地すべり地から採取した土試料に関して行った地すべり再現試験から得られた動的特性パラメターとレーザースキャナーから得られた数値地形情報を用いて、大地震時地すべり運動シミュレーションを実施し、地すべり運動範囲予測を行ない、東竹沢地すべりについて、実際の運動範囲を説明できる結果を得た。
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