研究概要 |
1.過去45万年間の植生変遷(MIS12以降) 神吉盆地において採取した深度60mの堆積物について,さらに火山灰分析を行い次の火山灰が認められ,このコアがMarine Isotope Stage(MIS)からMIS 12におよぶ,45万年以上の連続した堆積物であることが明らかになった。認められた火山灰は次のとおりである。 AT:29000年前,Aso4:87000年前,K-Tz:91000年前,Aso-1:249000年前,Ng-1294000年前,Kkt334000年前,BT72,349000年前and B271 and B277-2(年代?) このコアについて,花粉分析を行った結果,過去の4回の温暖期であるMIS11,MIS9,MIS7,MIS5.5の間氷期において認められる植生はそれぞれ異なっていたことが明らかになった。MIS5.5(約13万年前)とMIS11(約40万年前)では,スギとともにアカガシ亜属花粉の出現率が高かった。しかし,MIS7の間氷期ではスギとブナ花粉が優勢で,極低率であるがアカガシ亜属花粉が伴っていた。また,MIS9の間氷期では,ブナ花粉が優勢であるが,数%のアカガシ亜属花粉を伴っていた。 2.過去13万年間の植生変遷(MIS5.5以降) 17年度に引き続き,最終間氷期(MIS5.5)以降の植生変遷を神吉と琵琶湖高島沖のコアについて,より高分解能に分析を進めた。これらの結果および近畿地方の日本海側に位置する黒田低地の花粉分析結果(Takahara & Kitagawa 2000)との比較を行い,近畿地方における植生変遷を明らかにした。 また,京都市北区の探泥他において,少なくとも最終間氷期に至る19mの堆積物を採取した。この堆積物は,完新世まで連続しているため,神吉堆積物で欠如している部分を補うことができる重要な試料である。
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