研究課題/領域番号 |
16380114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 正光 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (20126006)
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研究分担者 |
安藤 直人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (90125980)
佐藤 雅俊 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (90302588)
吉原 浩 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30210751)
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キーワード | 木造軸組住宅 / 地震 / 倒壊過程 / 通し柱 / ほぞ穴 / 断面欠損 / 高速負荷 / 拡張個別要素法 |
研究概要 |
本研究は改良個別要素法を用いて、木造住宅が大地震に遭遇した場合の挙動をコンピュータシミュレーションによって再現しようとする試みの流れに立つものである。これまでの研究で、在来軸組住宅における定性的な倒壊プロセスは再現出来ることを示すことが出来たが、このシミュレーション手法を有限要素法に匹敵する定量的解析手法にもっていくためにはいくつかのハードルがあった。計算に必要なパラメータの内、柱-梁の金物接合部に関しては、従来のデータを活用できることが判明した。また、合板釘打ち壁なども定量的に再現できることがわかった。しかし、在来軸組工法で強度上の配慮から、建物の四隅に配置するように規定されている通し柱の挙動は明らかではなかった。通し柱には梁を固定するためのほぞ穴が開けられるのが通常であるが、近年のプレカット工法の普及により、想定外の大きな断面欠損が発生するおそれもあり、実大サイズの住宅の倒壊過程シミュレーションのためには、この通し柱の強度をパラメータ化する必要があった。前年度までの研究で、さまざまなほぞ穴が開けられた通し柱の強度低下の度合いが明らかとなったが、本年度は通し柱が地震時のような動的負荷を梁部材から受ける場合について実験を重ねた。前年同様に、単ほぞ穴から四方差しまでのほぞ穴に対して、実大寸法の断面をもつスギ柱材の曲げ試験を行い、見かけのヤング率、曲げ強度等を求めた。その結果、静的負荷の場合と比較して動的負荷ではヤング率はほとんど変わらないが、破壊強度はむしろ動的負荷の方が大きいという結果が得られた。これは当初の予想に反する結果であったが、逆に通し柱の有効性を示す結果が得られたと考えられた。また、シミュレーション用のパラメータも静的試験で求めたものを使用すればよいことも明らかとなった。
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