研究概要 |
本研究の目的は、心材形成の生化学・分子生物学的機構の全貌解明にいたる第一段階として、心材に特異的且つ多量に蓄積する心材抽出成分の生合成に着目して、これに与る遺伝子の発現調節機構の解明を行うことである。 本年度は、心材形成に伴い特異的に発現するリグナンおよびノルリグナンの合成酵素遺伝子のクローニングを目指して研究を行った。研究は、以下の通り予定通り進行している。 昨年度までに得られたヒノキレジノール合成酵素とリグナンOMTの組換え酵素を大腸菌で発現させ、得られた組換え酵素の機能を、前年度に引き続き解析した。その結果、リグナンOMTとヒノキレジノール合成酵素が触媒する反応の速度論的性質の詳細が解明された。また、本年度は新たにフラボノイドOMT遺伝子も単離された。本遺伝子は、リグナンOMTとホモロジーが極めて高いにもかかわらず、両酵素の基質特異性が大きく異なり、フェニルプロパノイド合成酵素の進化の観点から興味深い。 また、フェニルプロパノイドモノマーの合成にかかわる酵素(CAldOMT,CCoAOMT,CAD,SAD)をコードする遺伝子ファミリーメンバーも多数取得し、その発現解析ならびに組換え酵素が職倍する反応の速度論解析を行った。その結果、ケイヒ酸モノリグノール経路のいくつかの遺伝子の機能が特定された。 なお、以上の成果は11.に記載の論文で公表した他、日本植物細胞分子生物学会および、IAWPS 2005 (International Symposium on Wood Science and Technologies), Pacifichem 2005, IUFRO Tree Biotechnology 2005、リグニン討論会、農芸化学会大会、6^<th> International Wood Science Symposiumで発表した。
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