研究課題/領域番号 |
16380119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70183449)
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研究分担者 |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273489)
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助手 (40324660)
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キーワード | ポプラ / ミクロソーム / コニフェリルアルコール / シナピルアルコール / ATP / リグニン |
研究概要 |
形成層活動が活発な時期のポプラを伐木し、剥皮後直ちに分化中木部を削り取り液体窒素中に保存した。削り取られた分化中木部にバッファーを加えて粉砕し、ナイロンメッシュでろ過して細胞壁断片を除去した。その後3600gで遠心分離して葉緑体などを除去した後、上清を123,000gで遠心分離してミクロソーム画分を得た。 ミクロソーム画分を樹脂に包埋し超薄切片を作製して透過型電子顕微鏡で観察すると、小胞化した膜が多数存在し、小胞化した粗面小胞体も存在した。この画分には細胞膜断片だけでなく、液胞膜断片や粗面小胞体が存在することが判明した。 ミクロソーム画分をpH6.2〜7.8に調製したバッファーに懸濁し、モノリグノールとしてコニフェリルアルコールかシナピルアルコールを加えて、膜画分にそれらが取り込まれるか否かを調べた。この際、ATPを加えた場合と加えなかった場合の取り込みを比較した。 バッファーのpHを変えても、モノリグノールの「取り込み」は変わらなかった。ATPを加えると「取り込み」量はおよそ2.5倍に増加した。この結果はATPに依存したモノリグノール類の小胞内への「取り込み」が存在することを示唆している。またインキュベーションの時間を変えて「取り込み量」を調べたが、大きな差異は見られなかった。このことは、モノリグノールの「取り込み」が極めてすばやく行なわれることを示唆している。モノリグノール類ではシナピルアルコールの「取り込み」がコニフェリルアルコールのそれに比べ数倍高かった。これはポプラのリグニンがシリンギルリグニンに富んでいるためと考えられる。
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