研究課題/領域番号 |
16380119
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70183449)
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研究分担者 |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273489)
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助手 (40324660)
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キーワード | リグニン / モノリグノール / 生合成 / 酵素 / 4-クマール酸CoAリガー / 4CL / ポプラ / 分化中木部 |
研究概要 |
リグニンの前駆物質であるモノリグノール類の細胞内での生合成メカニズムを調べる一環として、4-クマール酸CoAリガーゼ(4CL)の細胞内局在を免疫電子顕微鏡法で調べた。4CLのアミノ酸配列より、親水性のアミノ酸残基が多く並んでいる配列を3ヶ所選び出し、それらのアミノ酸配列に従い10〜15残基のアミノ酸を人工的に合成して、ヘモシアニンと結合させ抗原とした。これら抗原をマウス腹腔内に数回投与し、抗体を得た。この抗体はウエスタンブロット法により4CLの分子量と推定される60kDaと63kDaのタンパク質を強く認識した。この抗体を用いてポプラ(Populus sieboldii×Poplus grandidentata)の分化中木部を標識したところ、二次壁形成中の道管要素や木部繊維に標識が認められた。現在は免疫電子顕微鏡法で4CLの細胞内での標識を調べている。一方、モノリグノール類の細胞外輸送メカニズムに関し、同じポプラの分化中木部より超遠心分離法により細胞膜を含むミクロソーム画分を得て、各種モノリグノール類のミクロソーム中への取り込みを調べた。コニフェリルアルコールやシナピルアルコールを投与すると、わずかにミクロソーム内に取り込まれることが確認された。この取り込みはATP存在下でも同程度を取り込んでいた。配糖体の一種であるコニフェリンやシリンジンを投与しても、それらはミクロソーム内に取り込まれたが、コニフェリルアルコールやシナピルアルコールにくらべ、取り込み量はかなり増加した。コニフェリンとシリンジンを比較するとシリンジンの取り込みが顕著であった。これはポプラが主にシリンギルリグニンを合成することに由来すると考えられた。
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