研究課題/領域番号 |
16380122
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
塔村 真一郎 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 主任研究官 (70353779)
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研究分担者 |
井上 明生 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 室長 (10353591)
宮本 康太 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 研究員 (70353878)
大平 辰朗 独立行政法人森林総合研究所, 樹木化学研究領域, 室長 (40353619)
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キーワード | アセトアルデヒド / VOC / 木質建材 / 接着剤 / エタノール / 放散 / 集成材 / 木材 |
研究概要 |
木材自身からのアセトアルデヒドの発生については、木材(針葉樹4種(スギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツ)と広葉樹4種(サクラ、シナノキ、ミズナラ、イタヤカエデ))を空気存在下、加熱(室温〜100度、100〜150℃、150〜200℃の3段階)処理しても極端な増加は見られなかったが、アカマツ、シナノキなどの特定の樹種において特異に放散が増加する傾向があり、樹種による放散挙動の違いが認められた。 またレゾルシノール系接着剤を用いた集成材からのアセトアルデヒド放散について、接着剤の含有成分の種類、プレス方法、ラミナの樹種を変えた集成材を作製して測定した結果、エタノールが含有されている接着剤を用いた集成材の場合にのみ顕著なアセトアルデヒド放散が検出された。次に、エタノール含有レゾルシノール系接着剤自身の硬化過程あるいは硬化物からの放散を調べたが、アセトアルデヒドは全く検出されなかった。つまり、接着剤自身からは発生しないことが明らかになり、木材とエタノールとの間に何らかの相互作用があることが示唆された。 そこで、エタノールを直接木材に塗布したところ、短時間のうちに大量のアセトアルデヒドが生成することが明らかになった。したがって、集成材から発生していたアセトアルデヒドはレゾルシノール系接着剤に含有されるエタノールが原因であり、エタノールが木材と接触することによって初めてアセトアルデヒドが生成してくることが判明した。さらに滅菌した木材にエタノールを塗布した場合、アセトアルデヒド発生量が無処理の場合より著しく減少したことから、木材表面の菌類がエタノールからアセトアルデヒドの変換に関与している可能性があることが示唆された。
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