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2004 年度 実績報告書

アワビ類各種の再生産戦略の比較による資源量減少要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16380126
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

河村 知彦  東京大学, 海洋研究所, 助教授 (30323629)

研究分担者 木村 伸吾  東京大学, 海洋研究所, 助教授 (90202043)
渡邊 良朗  東京大学, 海洋研究所, 教授 (90280958)
キーワードアワビ類 / 再生産戦略 / 繁殖生態 / 初期生態 / 資源量減少要因
研究概要

1.エゾアワビの卵巣の発達過程と産卵後の卵巣の変化を組織学的に観察し、異なる卵母細胞群が同一産卵期内に成熟する回数とその間隔について検討した結果、1産卵期中に異なる2つの卵母細胞群(第1次成熟卵、第2次成熟卵)が継続して成熟を進行させるが、その後3つ目の卵母細胞群は成熟しないことがわかった。産卵が可能となった後に、産卵誘発刺激を受けて成熟した卵母細胞がほとんど全て産卵された場合には、速やかに新たな卵母細胞群の成熟が進み、水温20℃では約1ヶ月で再び産卵可能な状態になると考えられた。
2.第1次成熟卵と第2次成熟卵の卵質(卵黄体積、蛋白質・脂質・糖質の含有率)を比較した結果、第2次成熟卵の蛋白質および脂質含有率が第1次成熟卵より有意に高かった。卵から得られた幼体の最長浮遊期間および無給餌生存期間を測定した結果、両期間にはともにそれぞれが由来する卵の蛋白質および脂質含有率との間に有意な正の相関が認められた。
3.アワビ類各種の浮遊幼生および着底初期稚貝の採集を行い、産卵日の推定を行うとともに、海洋環境要因の変化との対応関係を解析した結果、エゾアワビとトコブシについては、台風の通過に伴う海況変動が放卵・放精を誘発したものと考えられた。一方、暖流系大型アワビ類3種の放卵・放精は必ずしも台風の通過と同期していなかった。
4.放卵・放精時における雌雄の個体間距離が受精に及ぼす影響をアワビ類種間で比較するため、対象とする5種について精子の形態的特徴を電子顕微鏡で観察し、精子密度と放精からの経過時間、精子と卵の接触時間が受精率に及ぼす影響を室内実験で検討した。その結果、トコブシの精子は、頭部全体に占めるミトコンドリアの割合が他の4種に比べて有意に高く、受精能持続時間が長いことがわかった。また、トコブシの卵は、他のアワビ類に比べて低い精子密度で、短い接触時間でも高率で受精できることがわかった。これらのことから、トコブシでは他種に比べて受精可能な雌雄間距離が長いことが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of grazing by a gastropod Homalopoma amussitatum, a competitor for food with post-larval abalone, on a community of benthic diatoms2004

    • 著者名/発表者名
      T.Kawamura, H.Takami, Y.Yamashita
    • 雑誌名

      Journal of Shellfish Research 23(in press)

  • [雑誌論文] Morphological changes in the radula of abalone Haliotis diversicolor aquatilis from the post-larval to the adult stage.2004

    • 著者名/発表者名
      T.Onitsuka, T.Kawamura, S.Ohashi, T.Horii, Y.Watanabe
    • 雑誌名

      Journal of Shellfish Research 23(in press)

  • [図書] 海洋生命系のダイナミクス・シリーズ 第4巻 海の生物資源-生命は海でどう変動しているか-2005

    • 著者名/発表者名
      河村知彦, 高見秀輝
    • 出版者
      東海大学出版会(印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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