研究課題
基盤研究(B)
初回性成熟とは生命が初めて生殖能力を獲得するという非常に重要な現象である。本研究では初回性成熟、特に初回性成熟過程の卵黄蓄積開始前後の個体において発現の変動する遺伝子を同定し、その誘起機構に新たな知見を得ることを目的とした。実験魚として環境要因による性成熟への影響が少ないティラピアを用い、発現に差のある遺伝子の同定方法としてSSH(Suppression Subtractive Hybridization)法を用いた。同程度の体サイズでありながら成熟段階が卵黄蓄積開始前後と異なるティラピアの肝臓からtotal RNAを抽出し、cDNAを合成した後、SSH法に供した。次に卵黄蓄積開始前、開始後の肝臓から得られたそれぞれのcDNAライブラリーに対してスクリーニングを行い、得られた陽性クローンの塩基配列を解析したところ、候補遺伝子として卵黄蓄積開始前の肝臓に特異的に発現しているとされるものが8クローン、卵黄蓄積開始後の肝臓に特異的に発現しているとされるものが4クローン得られた。さらにRT-PCRにより各成熟段階ごとのそれらのクローンの発現動態を調べたところ、卵黄蓄積開始後の個体の肝臓に特異的な遺伝子としてfatty acid binding protein遺伝子、quinone reductase遺伝子、B-cell translocation gene 4遺伝子とそれぞれ高い相同性を有するクローンが得られた.今後、これらのクローンの発現動態をより詳細に調べることにより、肝臓に着目した新たな初回性成熟のモデルが得られることが期待される。
すべて 2005 2004
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